団員の声(感想文)

日本人であるということは嬉しくて有り難いこと

第三班 副班長 舩津邦彦

以前から参加してみたいと考えていた慰霊訪問団に、退職を機にやっと参加することが出来ました。送られてくる「ライセンスメイト」の記事や、友人の話あるいは各種の雑誌等によってかなりの訪問先の情報については、知識としてはおおよそ知っているつもりでしたが、事務局の皆さん方の周到な準備のおかげで、すべての訪問先の趣旨や来歴、これまでの交流の経緯等改めて知ることが出来ました。団長を始めとする事務局の皆様には、本業の傍らこうした準備をしていただいたことを考えると、本当に感謝するばかりです。

「百聞は一見にしかず」とは言いますが、「知識として知っているつもり」になっていることと、「実際に現地で見聞きすること」とは、かなりの開きがあります。台湾には、過去3度訪問し、台北市及び烏來や淡水周辺には足を運んでいましたが、基本観光旅行であったため、台北市内の「六士先生の墓所」すらお参りしたこともなく、ましてや「八田與一技士の墓所や烏山頭ダム」を始めとする台北以外の地は初めてでしたので大変楽しみに参加させてもらいました。

特に、初日に予定されていた烏來の「高砂義勇隊戦没英霊記念碑」へのお参りは、最初の台湾訪問で訪れて以降、2回目には碑文が竹囲いでおおわれているのを見て残念な思いが残り、3回目は参拝できず、店屋の方にお願いして献花をしてもらったことを記憶しています。その後、産經新聞の記事による移転費用募集に応じて寄付をしておりましたので、今回の訪問で、立派な記念碑が移設された様子を知ることが出来大変うれしく思いました。

また夕食前に訪問した「林森公園」には明石元二郎台湾総督の墓所にあった鳥居が保存されていたことや、陳水扁総統時代に乃木将軍の母御の遺骨が発見され今でもきちんと慰霊されていることを知り本当に感激しました。このことを知っている日本人は殆どいないだろうと思い愕然とすると同時に、国交を断っているということの不幸を実感しました。

一夜明けて、日本も協力して完成した台湾新幹線に乗って向かった台南までの旅は快適で、小ざっぱりした車両内部や駅舎も清潔で、あっという間の1時間半でした。台南からはバスによる移動で、烏山頭ダムの八田與一記念館等を訪れ、八田ご夫妻の墓碑にお参りすることができ、長年の思いを果たすことが出来ました。ダムの全貌や、嘉南平野全体の姿は見ることが出来ませんでしたが、ガジュマルの樹木に囲まれてとても幸せな空気に包まれていました。

屏東の「東龍宮」、高雄の「保安堂」、台南の「飛虎将軍廟」、嘉義の「富安宮」と巡り、70年以上前の日本人を御祭神として今なおお祀りし続けて下さっている事実に、現代の平均的日本人として何とも言えない違和感?恥ずかしさ?感謝?更には、台湾の方々に対する敬意がごちゃ混ぜになったような感情が渦巻き、落ち着かない気持ちだったことを正直に申し上げたいと思います。

しかし、台中の「宝覚寺」での日台合同の戦没者慰霊祭や台湾の靖國神社として位置付けられている新竹の「濟化宮」での慰霊式を済ませるころになると、当時の日本人がいかに素晴らしかったのか、そして台湾の方々は、当時も今もそれを素直に感謝し、自分たちのこととして慰霊して下さっているのだと素直に感じられるようになり、そのことを有り難く感じている自分がいることに気付かされました。― 日本人であるということは嬉しくて有難いことですね。ホントに日本人っていいですね。

最終日の台北での「六士先生」の墓参では、私たちが六士先生の墓所を探していることに気付いた散歩中の台湾の方から、もう少し先だよと(言葉ではなく)指差された(謝謝!)ことも心地よい体験でした。

その他、高雄市及び台湾外交部での表敬訪問に対する行政の対応も、一民間団体に対する対応ではないと感じました。小菅団長の16年に亙る実績と信頼がそうした対応を可能にさせたのでしょうが、台湾がわが国民に寄せる信頼の証のように感じたのは、私だけでしょうか?

そして、今回の旅では、日本各地から参加された多くの方々と知り合えたことも大きな喜びでした。お話をさせてもらうと、思いのほか初めての参加者が多くいらっしゃることに気付き、慰霊の旅が各地に情報として浸透している証だろうと感じました。個性的で、日本が大好きな方々と知り合いになれたことは貴重な財産になります。こうした機会を与えていただいたことに改めて感謝したいと思います。

個人的には今回が初めての参加であったため、台湾の方々との交流は殆どできませんでしたが、大事なパートナーとしての日本と台湾の結びつきは今後益々重要性を増していくと思います。我々一人ひとりが、こうした台湾の人々との結びつきを強めていくことが、国と国の関係を深めていく上での何よりの力となり、大きな影響を持つと信じています。

最後に、三班の皆様ありがとうございました。原田様を始めとする事務局の皆様お世話様でした。ご一緒させていただいた48名の仲間の皆様、ありがとうございました。そして、台湾各地で我々を歓迎して下さった台湾の方々に心から感謝を申し上げ、私のお礼の報告とさせて頂きます。

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