団員の声(感想文)

台湾は日本にとって大切な絆で結ばれた国

第四班 班長 中島公明

最初に、この度の訪問団に参加しようと思った切っ掛けである。5月だったと思うが、産經新聞に掲載されていた広告で、日高特別顧問の論文を読んだことに始まる。同じページに黄文雄先生の講演会のお知らせがあったと記憶している。何い?中国が沖縄までも狙っているだと?ケシカラン!と、講演を拝聴することにした。会場に入ると正面に、日台両国国旗に、「日台魂の交流」との横断幕が掲げられており、何よりBGMが「興亜行進曲」に「台湾軍の歌」ではないか。いやが上にも期待は高まり、「君が代」の斉唱に続く「海ゆかば」。この信時潔の「海ゆかば」の旋律に私は、めっぽう弱い。パブロフの犬のように反射的に涙腺がゆるむのである。その時の配布資料からライセンスメイトという機関誌やWEBページを見ることに繋がっていった。

そこには何と!国旗と軍艦旗を掲げている一団が写っている。しかも海軍の艦内帽も見受けられる。何せ昨今、祝祭日に国旗を掲げている家は、ご近所では我が家の1軒だけという情けなさ。日の丸ですら、日教組は軍国主義云々として法廷闘争を仕掛けている中、いわんや軍艦旗に至っては、彼らにすれば卒倒ものだろう。その2つの旗を高く掲げている訪問団に率直に心を揺さぶられ、その趣旨にもいたく賛同したのである。常々、高砂義勇隊、あるいは中村輝夫二等兵(昭和49年フィリピンから帰還)のような旧日本軍人軍属の献身的な働きに、祖国日本は十分報いただろうか、という負い目もあったからだ。これまでもご英霊への感謝のお参りは、上京時の靖國参拝とみたま祭りの献灯、ここ数年は靖国の春季、秋季例大祭に合わせた上京等、それなりにやってはいたが、台湾慰霊訪問団を知り、是非参加してみたい、そう思った。

先ずは、小菅団長のこと。常に海軍の夏用艦内帽を着用され、ご英霊のことを第一に思われる信念の人とお見受けした。その語り口は、実に確信に満ちて小気味よく、蘊蓄があって聞く者の琴線に触れる。というより、まさに聴き手の心を鷲掴みである。自分もこの歳になって涙腺の堤防は大分弱くなっているが、団長の話を聞きながら段々熱いものが堤防すれすれまで込み上げて来ることが多かった。これにとどめを刺すのが「海ゆかば」である。これを聴くと大体5小節目くらいで涙が溢れてくる。団長の話で堤防が揺さぶられ、「海ゆかば」で決壊する。今回の旅で、だいぶ目の洗濯をした。それから外交部の表敬訪問を実現させた方ということ。友人に話したら、よほど格の高い訪問団なんだね、と感心していた。私も驚いたが、もっと驚いたのはその外交部の中へ、海軍帽と日の丸と軍艦旗を捧持したまま行進して入ったことだ。台中市政府の時もそうだった。当時の日本は、実に不本意であったが青天白日旗と天戈を交えた訳だし、大丈夫かな…と、でも杞憂であった。何事もなく、団長は堂々としたものだ。長年の継続で今日の信頼関係を築かれているものと感激した次第。

さて、海交会の歓迎夕食会等で台湾の方々とお会いした。帝國軍人だった方々、陸軍看護婦として大陸で勤務された方々、口から出るのは日本が負けて残念だったという主旨の言葉であった。教育勅語を一緒に諳じてもらったが、途中間違ったのは私で、その方は御名御璽までを完璧に唱えられた。古き良き日本がここには未だ健在だ。感動!その日本は戦後、日本国籍を喪失したこれらの方々に決して暖かい手を差し伸べてはいない。なのに恨み事、繰り事の一つも聞かなかった。もっともそういう人は交流会に参加していないだろうから、これをもって台湾人は皆そうだと言うつもりはない。しかし、35年ほど前、最初に訪れた時の見ず知らずの台湾人(旧帝國軍人)に実に親切な歓待を受けた経験、そして此度の大震災に寄せられた支援等を併せて考えると、やはり台湾は日本にとって大切な絆で結ばれた国であることを確信させるに十分であった。同様のことは、旅程が進み、それぞれ訪問地の話を聞くごとに益々強くなるのである。

一例を挙げる。台南の飛虎将軍廟における御祭神杉浦兵曹。民家への被害を避けるため脱出の機会を逃して戦死されたその崇高な自己犠牲の精神を、真っ当に評価してくれている地元台湾の方々。この話を知った時は有り難さに胸が熱くなった。さらに今回、園児達による寸劇があることを知った。星条旗をつけた米軍機、日の丸をつけた杉浦兵曹機、そして農民、それぞれに園児が扮してこの劇を演じる。飛虎将軍廟の縁起を学ばせ、代を次いでお祭りを永続させようとしている地元の方々の活動には、単に頭が下がると言った表現では足りないものを覚える。翻って、我が国にも自衛隊機がやはり集落を避けようと機首を巡らせたため、脱出の機会を逸して殉職された例がある。地元の行政は慰霊の石碑を建てることを拒否したそうである。…言葉を失う。戦後の日本人は日本精神どころか普通の人の心さえ無くしてしまったようである。

六氏先生を始め、明石元二郎総督、八田與一技師等々、まさに一視同仁の大御心に従って台湾開発に心血を注いだ偉大な先達、この先達とその真意を理解した台湾同胞のお陰で今の日台の良好な関係があるものと確信する。この先人達の業績を正当に評価してくれている台湾。そのお墓、その記念碑の扱いがそれを如実に証明している。ありがとう台湾、日本人に自信を取り戻させてくれる台湾。もっと多くの自信喪失の日本人がこの地を訪れ、目から鱗の思いをし、日本精神(武士道)は、決して間違っていなかったんだと気付いてくれることを切に願う。そして我々日本人は、この日本びいきの台湾の方々の期待を二度と裏切るような振る舞いをしてはならない。

結びに、この慰霊訪問団を企画・実施され、参加の機会を与えて頂いた小菅団長並びにスタッフの皆様に深甚の感謝を申し上げる。

第13次 団員の声(感想文)全22件

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