団員の声(感想文)

日台は深く地下水でつながっている

副団長 永田昌己

今回の第13次日華(台)親善友好慰霊訪問団は3つの目的をもっての訪台となった。

1つ目は宝覚寺における英霊慰霊祭に参加し、現地の人たちとの親善交流、2つ目は中華民国の建国百年の慶事のお祝い、3つ目は東日本大震災という未曽有の惨事において、200億円をこす、世界一の義捐金を差しのべてくれた台湾への感謝である。

まず、台北桃園空港に到着し外に出てみると道路際にずらりと青天白日満地紅旗(赤地に左上4分の1に青天白日と同じ模様を染めた旗・中華民國の国旗)が掲げられ建国100年を祝っている。

松山空港で東京組みと合流するや現地のメディアの取材を受け訪問団の目的がインターネットで報道された。謝謝台湾・慶祝中華民國建国百年の赤い横断幕の写真を掲載し、小菅団長以下45名の訪問団はこれまで13回台湾を訪問していることや、中華民國建国100年を祝うと同時に台湾からの震災義捐金の謝礼を行っていると伝え、「世界各国の中で最高の義捐金は日本の全国民が感動し、この台湾の支援は永遠に忘れない」という団長の言葉も紹介した。初日から目的を達成するスタートである。

今回の訪問団には産經新聞の記者や行橋市西福寺住職も加わった。産經新聞の台湾慰霊訪問の旅《生命の絆》5回にわたる連載は日本と台湾の長い歴史の真実を国民に正面から伝える重要な役割を果たし、又、僧侶の読經は宝覚寺における慰霊祭を一層厳粛なものとし、御英霊もさぞかし喜んでおられることだろう。

今回の旅では初めての訪問地が幾つかあった。台中の市政府表敬訪問もそのひとつである。宝覚寺における慰霊祭のPRが目的とされていたが思わぬ大きな収穫があったと思う。応対した蔡副市長は13回にのぼる慰霊訪問団の訪台に感謝を述べた後、「皆様を歓迎するために一番大事な会議室を使用します。皆様は台湾の大臣です。小菅団長は日本の代表です」と敬意を表した。12年前に発生した台湾大地震の折は日本から多くの支援を受けた。今回の日本の大震災に対しては大変関心を寄せている。当日雨であったが多くの市民が義捐金を持ち寄ったと述べこれからも仲良くしたいと交流を誓った。

これに対し団長は作ったばかりの記念の手拭いを蔡副市長に渡し、国賓級のもてなしを受け有り難うございますとお礼を述べ「隣人にもいろいろある。商売上仕方なく付き合わねばならない厄介な隣人もいれば困ったときお互い助け合える隣人もいる。日本と台湾は真の友人、隣人だ」と返答し、日本をはじめ国際社会は台湾を独立国家として認知すべきと表明した。表面上は目立たないが、『日台は深く地下水でつながっている』という訪問団の思いがいつの日か鳥居信平の地下ダムのごとく地上に噴出するであろう。初訪問であった台中市政府訪問は日台の交流の核心をついた素晴らしい対話の交換の場となった。

宝覚寺における霊安故郷の慰霊祭では、読経の続く中、小菅団長の祭文奏上のあとをうけ、左腕に白地に赤十字の腕章をつけた80歳代の女性が原稿も用意せず直立不動、しかもしっかりした日本語で切々と弔辞をのべられる姿に感銘した。

「日本教育一筋に生き抜いてきた。皇軍の喜びもつかの間、戦後どん底に落とされた。列強による植民地から解放された喜び、今は自由と平等の理想郷となったがこれも偏に先達の尊い命のお陰です。これからもこの交流が末永く続くことをお祈りいたします」と結んだ。

高齢化に伴い慰霊の継承が危惧されるところだが一筋の光明を感じたのが飛虎将軍廟にあった。例年と変わらぬ熱烈歓迎ぶりだが目を引いたのは廟内の壁に掛けられた数枚の写真である。子供達が胸に日の丸をつけ、頭にはヘルメットのパイロット姿で飛虎将軍杉浦少尉の劇を大勢でやっている写真があった。横に杉浦茂峰少尉の凛々しい姿の写真も掲げられていた。台湾では子供の時から公に奉ずる精神の大切さをこの日本人から学んでいるのである。

最終日には明石元二郎第7代台湾総督の墓参りが出来た。昨年は念願かなわなかったが今回は実現し、明石総督墓所を現地で確かめることができた。林森公園の日本人墓地から台北市三芝郷(李登輝元総統の生まれ故郷)にある福音山基督教墓地へ移され、安からに眠られている。1918年(大正7年)から1年あまりの台湾での仕事がどれほど台湾近代化の礎を築いたことか。正に郷土が生んだ英雄である。それにしても林森公園の2つの鳥居が何とも寂しく建っている姿は目に焼き付いて離れない。中国国民党がこれまでやってきた日本人墓地破壊、これもまた歴史の真実である。今、日本で一番大切なことは、如何なる困難があろうとも勇気をもって真実を伝えることにある。

最後の中日海交協会による歓迎の昼食会で一人の女性に〝日本は親日政権となって下さい〟と1冊の本をいただいた。

第13次 団員の声(感想文)全22件

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