団員の声(感想文)
過去の歴史を知り、未来の歴史を創る
第一班 津田班 岡根智美
台湾に旅立つ前に、福岡で松俵さんのお宅に一晩前泊させていただき、翌朝に皆さんと一緒に福岡空港へ向かいました。今回は団員として皆さんと同行し、全ての行程を細かく記録として残すというのが私の最大の目的でした。慰霊訪問に参加されている方々のお顔が徐々に記憶に刻まれ始めてきた頃、自分も団員でもある、ということを思い出しました。慰霊訪問の旅は足早に駆け抜け、それでも記録することに集中していたあまり、前半は、その内容や意味を深く考えるところまで至りませんでした。しかし私自身、常日頃から考えていた「平和」の考え方として、個から発するものと全から発するものがあるとするならば、この訪問は、「国体」という全から発する考えを基にして、日本人として、日本国民として、国旗を掲揚し、国歌を歌い、当時の人たちが万感の思いを込めて歌ったであろう「海ゆかば」を歌い慰霊するという、これまで私が生きてきた環境の中で、僅かながらに聞く機会があっただけの存在だったこういう環境に終日身を置いた、初めての経験となり、とても意義深い旅となりました。皆様のご協力の下、記録撮影は無事終了いたしました。DVDになった時、少しでも多くのご参加された方々に喜んでいただけるものであればと祈っております。
台湾での戦没者慰霊自体、一体これまで何度、自分自身のこととして、また、日本や日本人として考えたことがあったでしょうか。今回、これまで18回続いてきた台湾の元日本兵戦没者慰霊と台湾の皆様との親善友好訪問を、撮影という立場からでしたが、半強制的に参加させていただくことで、これまで私自身にとっては遠い話だった歴史の事実が目の前で繰り広げられた思いがいたしました。とても興味深く、正しく歴史を知り、受け止め、伝えていくことの大切さを、改めて知った思いがいたしました。
また、現在は台湾人ではあるものの、当時は日本の統治下であり、日本は台湾の人たちに対して日本人として、日本国民と同じように教育や福祉の制度を敷いたことなどを現地の方々から聞くと、教科書や人づてに聞く話より更に真実として伝わってきました。こういった、戦争経験者や当時のことを体験した、もしくは知っている方々が、どんどん高齢化しているのも現実として拝見させていただき、日本と台湾との関係や、台湾に住んでいた日本人のこと、日本人の貢献、戦争当時のお話などをインタビューさせていただいて、映像で記録を残したいと思いました。
台湾人が日本兵として出兵したこと、アメリカ人が恐れた怖いもの知らずの日本人は、実は台湾人だったこと、台湾の人たちの勇敢さと忠誠心。今なお日本に対して親しみを感じてくれている台湾人のみなさん。多くの日本人が、台湾は親日という情報は知っていても、なぜ親日なのか、その感情がどこからきているのかは知りません。もしくは深く調べようとすることが無いのかもしれません。それでも台湾では毎日日本人の功績が、事業やテレビなどで讃えられています。そういった現場も実際に自分の目で見てみたいと思いましたし、そこで授業を受けている学生さんたちにもインタビューしてみたいと思いました。
今回の旅は、これまで私が仕事を通して考えてきたことを、もう一度改めて、確信へと背中を押してくれるものとなりました。私は仕事で映像制作をしています。映像は広報宣伝に使われることが多いのですが、同時に記録としての存在意義もあると考えています。最近は記録のお仕事より、一過性の広報宣伝用の映像がたくさん出回るようになりました。映画やテレビだけでなく、インターネットで気軽に映像を見ることができるようになって、多くの人が気軽に映像を制作する時代になり、様々なジャンルの映像が増えてきました。しかし、今回の旅を通して、貴重なお話を、その場に行った人だけが共有するだけでなく、その場に行けなかった人たちにも共有してもらえるよう台湾の人たちの声を記録することも、とても大切なことだと考えるようになりました。もし機会があれば、その声が聞こえなくなってしまう前に、映像と音声に残していかなくてはいけないと強く思いました。
今回の旅の間に、小菅団長から公私共に大切なことは「まごころ」であると伺った時に、まさに、今の時代に大切なのは本当にそうなんだと痛感いたしました。プライベートは、自分自身と人との付き合いになりますので、心を優先してお付き合いすることが多いですが、お仕事となると利害関係が生まれ、それがまごころから発せられた思いなのか分からなくなる時があります。また、納期に追われ焦っている時も余裕がなくなり、人を思い遣ることができなくなっていることもあります。そんな時、「まごころ」という言葉を自分に語りかけてみようと思います。きっとそこから、何かその時々でいい解決策が生れてくるのではないかと思いました。これからの世の中に必要なことは、一事が万事、まごころなのかもしれないとつくづく思っております。そして、これから毎日、歴史を1日ずつ刻んでいく中で、いかに思い遣りをもった行動ができるかを考える時間が持てるように努力してみようと思います。
これまで知っているようで知らなかった過去の歴史を、今回の慰霊訪問のような形で、実際に現地に伺って、その時代を経験されてきた方々からお話を伺うことができるのは、本当に貴重な体験でした。ご依頼だったとはいえ、同行させていただき色々と学ぶことができたと思っております。ありがとうございました。
第18次 団員の声(感想文)全18件
- 台灣との絆の深さに感銘(松俵義博・松俵茂子)
- 日本人として台湾日本語世代の方々の人生と心情に寄り添いたい(原田泰宏)
- 行く度に感動深まる台湾慰霊訪問の旅(大山猛)
- 「感謝と責任」を実感した旅(津田建一)
- 身はたとい 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし大和魂(永濱浩之)
- 父が何よりも喜ぶ親孝行が出来た(沼田真清)
- 温故知新・百聞不如一見(湯下雅俊)
- 私には何ができるのだろうか。何をなすべきであろうか。(福田章枝)
- 自分の心のあり方を見つめる旅(山口衛)
- 感動の慰霊訪問の旅で得たもの(松永達始郎)
- 過去の歴史を知り、未来の歴史を創る(岡根智美)
- 台湾で神様になった日本人巡査を訪ねて(根之木昭憲)
- 「誠を感じ合う」慰霊訪問(冨田昇一・冨田隆子)
- 子供の頃に感じていた日本があった(鶴岡邦彦)
- これからも慰霊の旅に参加を(本間潤子)
- 幻の如く蝶が舞った烏山頭ダム(林雅子)
- 子供の頃に感じていた日本があった(大石憲)
- 安らぎと晴れ晴れとした思いを齎らした旅(鶴井博理)