団員の声(感想文)
日台の深いつながりには重くて大切な過去がある
第三班 副班長 桐野隆徳
訪問団での訪台は初めてでしたが、大変貴重で得難い経験でした。先ずは団長ご夫妻、企画、サポートしていただきましたスタッフの方々、一緒に同行された諸先輩方に深くお礼を述べたいと思います。ありがとうございました。皆様に支えていただき、いろいろとご教示いただきましたおかげで新しく知り得たことも少なくなかった充実の五日間でした。
さて、個人旅行での訪台は過去十数回あり、親日家が多いことも知ってはいましたが、今回訪問した各所での歓迎ぶりには、日本統治時代からの日本と台湾の親密さが時を経ても伝えられていると改めて感じられ、新たな感激を呼びました。親しい友人を迎えるかのように接していただくと、初めてお会いする方でも何故か懐かしさを感じてしまうこともしばしばありました。しかしながら私の勉強不足から歴史上の背景や知識を欠いており、十分に消化しきれないことも少なからずありました。それでも各所で、統治時代に台湾で生きた日本人の思いや情熱、信念、愛情、希望などを教えていただき、同時にそれらを大切に残されている台湾人の優しさに触れ、涙腺が緩む場面も多かった数日間でした。
我々日本人が戦前もっていた社会規範、礼儀、道徳、信義、大和魂などは、本来であれば様々な文脈を通じて、今日に至るまで継承されていなければならないと思います。しかし、所々に断絶が見られます。その断絶を埋め合わせる有形無形のものが台湾で大切に残され、護られて次の世代に継承されていることは感動でもあり、台湾人への感謝の念を抱かずにはいられませんでした。もちろん台湾は文化が異なり戦後60年間に大きな社会変動を経ているわけですから、日本が失ったものがそのまま台湾にあるという訳ではないのですが、それでも何故これ程まで今日本人が必要としているものが大切にされているのか、と思わずにはいられませんでした。
また、初めて参加しました原台湾人元日本兵軍人軍属戦没者大慰霊祭では日本人と台湾人との深い絆を思いました。日本人として散華された3万3千余柱の命は、その家族にとっても恋人、友人にとっても掛替えのない命だったはず。それだけに我々の世代は台湾人以上に過去を知って、継承を受けて、また次の世代へと責任を持って引き継いでいかなければならないのではないかと感じました。
深いつながりには重くて大切な過去があるものです。日台の絆には、共に血と汗を流した兄弟感・一体感が柱としてあります。我々日本人にはそのことをもっと知って深く感じなければならない責任があり、その責任を果たすことが先の大戦で亡くなられた原台湾人元日本兵の方々への慰霊へと繋がるのではないかと思いました。
まだまだ知らないこと、理解が届かないことが多いと実感させられる今回の訪問でしたが、日が経つにつれ充実感と心地よさが思い出される旅でした。
第14次 団員の声(感想文)全18件
- 『歴史とは虚飾、捏造、歪曲されない真実を後世に伝えていくもの』それが親善友好の絆となる(永石辰郎)
- 台湾との絆・交流を求めて(松俵義博・松俵茂子)
- 日本と台湾の歴史的淵源は深く絆は固い(永田昌巳・永田タマミ)
- 今も心に残る「海ゆかば」(矢ヶ部大輔)
- 懐かしい再会と日本文化の発見(原田泰宏)
- 小さくとも正しき基礎は、その後の発展を約束する(木村秀人)
- アイデンティティを共有した台湾と日本の強い絆(中島公明)
- 台湾教育の事始め―芝山巌事件における六士先生遭難(古賀誠)
- 悲でもなく辛でもない静かな涙で、喉詰まる国歌斉唱(青木繁政)
- 慰霊を中心とし、第一義とする。必要な物は集まってくる(石川秀久)
- 日台の深いつながりには重くて大切な過去がある(桐野隆徳)
- 森先生の「海ゆかば」(新谷章)
- 日本と台湾、生命の絆(中村哲)
- はるか台湾で輝く『警察魂』―義愛公「森川清治郎先輩に捧ぐ」(藤末耕一郎)
- 何とかして日本と日本人を守らなければならない(森敬惠)
- 「海ゆかば」(鎮魂歌)が外交部に響く(中山茂)
- 不思議な糸で引き寄せられる台湾(堂端聖子)
- 御英霊の命が生かされるように(清瀬武子)