団員の声(感想文)
明治人の偉業とこれに応える現地古老の人々
顧問 谷尾侃
予ねて蔡昆燦氏の「台湾人と日本精神」、自ら日本軍人と名乗る鄭春河氏の手記等を通読して、正に教育勅語の権化とも云える元日本人の方々に深い友情と尊敬の念を覚えていたが、昨年、本年と本旅行団の一員として台湾を訪れて、改めて現地古老の方々の心情に接して、心底から日本人であったことを懐かしみ、且つ誇りとしておられるのを知り、ここまで心酔せしめた先人の在りし日を思い、吾人の現生活を反省せしめられた。
今回、奇美実業会長・許文龍さんから自著「台湾の歴史」、拓殖大学池田憲彦教授との対談「台湾における後藤新平を考える」の2冊の小冊子を頂戴した。又、昨年訪台してから自ら余りにも台湾を知らなかったと反省し、名越二荒之助他編の「台湾と日本・交流秘話」、許國雄著「台湾と日本がアジアを救う」等を通読してみると、領台後の日本政府の施策が明治天皇の一視同仁の大御心に発し、更には植民地経営の範として日本文化の高さをも世界に認識せしむべきとの意志も働いていたと推察されている。又、許文龍氏は後藤新平氏が医学を修めた自然科学者で生態学を加味した下情に即した施策を採用した事が世情の安定、産業の振興に大きく貢献したものと推論しておられる。
私は戦前の日本人一般としての任務絶対主義の奉公精神を大きく評価したい。為政者、教育者、産業人、それぞれに台湾勤務を命ぜられると選ばれた者としての高揚を伴い、最高の力を発揮しているように逸話の多くから感じられる。
今一つ、大きく採り上げねばならないのが台湾の人々の素直さ、温かさである。吾々の交歓会における接遇に見られる温かさは内地における旧い交際の会合と何ら変るところがない。昔の教員の90%は教え子の謝恩会で台湾に迎えられているだろうと許文龍氏が話しておられる。又、氏は台湾に貢献した日本人の事績を顕彰して双方の戦後世代に知らしめる活動もしておられる。後藤新平氏の他、最後の台南市長羽鳥又男氏、上下水道の普及を進めた浜野弥四郎氏、台湾紅茶を振興した新井耕吉郎、二峰ダムを築いた鳥居信平氏等の胸像を製作し生誕地と活躍した現地の双方に設置し、その功を永く讃えるべく施策しておられる。(鳥居信平物語―平野久美子)
真に行届いた処置でその思慮の深さと人情の厚さには頭の下がる思を禁じ得ない。
これを感得されて親善友好慰霊訪問団を結成、11年間欠かさず実行しておられる団長・小菅亥三郎氏に満腔の謝意を捧げると共に微力ながら老骨に鞭打って本行事の継続に少しでもお役に立つよう努力することを誓って挨拶としたい。
本当に有り難うございました。
第11次 団員の声(感想文)全19件
- 明治人の偉業とこれに応える現地古老の人々(谷尾侃)
- 異例づくめの感動(金澤明夫)
- 台湾有情(大橋昭仁)
- 慰霊を回復して人は国民になる(梶栗勝敏)
- 第11次日華(台)親善友好慰霊訪問の旅に参加して(篠原章好)
- 2度目の感謝と感激の旅(岩本宣善)
- 第11次日台親善友好慰霊訪問団に参加して(古賀誠)
- 第11次日華(台)親善友好慰霊訪問団に参加して(松俵義博・松俵茂子)
- 一蓮托生の日台(高原弘之)
- 初めての訪問団参加を終えて(中村哲)
- 日華(台)親善友好慰霊の旅に参加して(松下美佳)
- 第11次日華(台)親善友好慰霊訪問団に参加して(永田昌巳)
- 台湾よ永遠なれ(戸田幸雄)
- 台湾の軍属慰霊団に参加して(下田健一)
- 日華(台)親善友好慰霊訪問団に参加して(下田純子)
- 慰霊訪問に参加して日本人より逞しい台湾の人々の気持ちを学びました(日高誠)
- 日華(台)親善友好慰霊訪問の旅に参加して(前原清美)
- 第11次台湾親善友好慰霊訪問の旅に参加して(前原照美)
- 慰霊訪問の感想(力武崇樹)