第20次 祭文

『日華(台)親善友好慰霊訪問団を代表し、原台湾人元日本兵軍人軍属三万三千余柱の御霊の御前にて謹んで祭文を奏上いたします。』

今、英霊として眠っておられる台湾の皆様は、先の大東亜戦争において、私達と一緒に日本人として、南海の島々や熱帯の密林で白人圧政者の軍隊と、また支那大陸で蒋介石率いる重慶軍や毛沢東の共産匪賊と生死を賭けて戦った同胞でした。国家国民の総力を挙げた3年と9ヶ月に亘る戦いにも拘わらずわが国は敗れましたが、国体を護り、大東亜解放の壮図を成し遂げました。

とまれ、わが国が軍事的敗北を余儀なくされたとはいえ、400年以上に及ぶ欧米列強の植民地支配に終止符をうち、アジアにおける全ての権益を失わせしめ、結果、民族自決の潮流を澎湃として巻き起こしたのは紛れもない世界史的事実です。

これを偉業といわずして一体何と呼べばいいのでしょうか。陛下の臣民として東洋平和のために共に血と汗を流した同志的兄弟感・一体感はかくして形成されました。台湾の皆様が50年間の日本統治時代の伝統や文化、はては「大和魂」を高く評価し、これらを「日本精神」として継承している世界に類を見ない親日的な国家・国民である由縁はここに淵源があります。

私達は、このような台湾の皆様の誠心に応えていくと共に、私達日本人に民族としての自覚と誇りを高めていくために、兄弟交流・家族交流を深め、兄弟感・一体感を強固なものにしていくことが肝要であると考えています。

今年は明治維新150年、慰霊訪問団結成20年の節目の年にあたりますが、20回の訪台での最大の発見は「明治との出会い」でした。領台時代、あるいは日本統治時代の価値観が、文化が、生き方が現在進行形で丸ごと形を残してくれているのが台湾です。明治日本から限りなく遠ざかる現代日本に住んでいる私たちにとって、台湾ほど郷愁を感じさせる国が一体世界のどこにあるというのでしょうか。

明治と遭遇させてくれた台湾。明治日本の生き方、考え方、そして有り様を是とし、戦前のわが国を肯定する台湾。明治・大正・昭和を教科書から塗りつぶし、国民の記憶から消し去ろうと血道をあげる日本。「出藍の誉」という言葉がありますが、青である台湾は藍である日本から出ましたが、藍より青くなっているのではないでしょうか。戦死された英霊はいずれの国を祖国と思うでしょうか。

平成11年以来、私達は宝覚寺における「原台湾人元日本兵軍人軍属戦没者大慰霊祭」に参列させていただき、3万3千余柱の御霊の安らかならんことをお祈りしてまいりました。今後も、この顕彰事業を風化させることなく、更に充実・拡大し、「日台の魂の交流事業」として次世代に継承していくことが、「日本人として散華された英霊」にお応えする私達の務めであると考えています。それは、この道こそが、民主的な平和国家として独立している台湾を支援し、真の友好関係を打ちたて、両国を結ぶ「生命の絆」をより一層深めてゆくことにほかならないからです。加えて、これらの行為が、日台両国の安全と国益に合致し、ひいては東アジア全体の平和と安定に寄与するものと確信するからです。私達は、この道を邁進することによって、日台国交正常化へ向けた国民運動の大きなうねりを創出してゆくことをご霊前にお誓い申し上げます。

以上の決意も新たに、わが国の近代史に比類なき勇気と献身を刻まれた英霊のご遺徳を偲び、御霊の平安を心より祈念し、慰霊の言葉といたします。

日台の生命の絆 死守せむと
吾 日本の一角に起つ

平成30年11月25日
民國107年
皇紀2678年

日華(台)親善友好慰霊訪問団
団長 小菅 亥三郎

祭文の系譜

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