第17回 台湾特別講演会 特別アピール(領土アピール)

特別アピール「わが国の領土喪失の元凶は日本人にあり~英霊顕彰と領土防衛は私たち生かされている者の使命です」

平成からの御世代わりである今年、令和元年は大日本帝國憲法発布130年、慰霊訪問団結成20年、そして「日台の魂の交流事業」に多大なるご支援を戴いております中華民國(台湾)駐福岡総領事館開設50年の節目の年にあたりますが、20回の訪台での最大の発見は「明治との出会い」でした。領台時代、あるいは日本統治時代の価値観が、文化が、生き方が現在進行形で丸ごと形を残してくれているのが台湾です。明治日本から限りなく遠ざかる現代日本に住んでいる私たちにとって、台湾ほど戦前の郷愁を感じさせる国は世界のどこにもありません。

さて、明治天皇は典憲(皇室典範と大日本帝國憲法)を裁定し発布するにあたり、祝詞である「告文(おつげぶみ)」でご自身を「皇朕(すめらわれ)」と自称されご先祖様であられる皇祖皇宗に謹んでご報告されています。その中で最も大事なことは「皇朕レ天壌無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ寳祚ヲ承繼シ舊圖ヲ保持シテ敢テ失墜スルコト無シ」と述べておられることです。幕末から明治、大正、そして昭和20年代に至るまでアジア・アフリカにおける近代国家としては唯一の独立国としてその地位を誇ったわが国・日本ですが、それは自前の版図を領有してこそはじめて可能であったのです。このあまりにもあたり前の常識が、今、まさに崩されようとしています。

それは他でもない外国人による土地取得です。わが国の国土が中国人他の外国資本に買収され続けています。特に北海道、沖縄、対馬は顕著です。これまでの観光地・リゾート地のみならず水源地などを狙った買収は、私たちの想像をはるかに越える広大な土地の買占めへと拡大し、地元住民の間には、このままでは中国人自治区が出来るのではないかという不安がとめどなく広がっています。「武器をもたない、目に見えない戦争が繰り広げられている」のです。しかもこれらの侵略行為は、経済的取引の装いを纏いながら白昼公然と「合法的」に進められています。

しかし驚くべきことに、今のわが国には外国人が土地などの不動産を買収することへの規制やルールが存在しません。領土・国民そして主権があってこその国であるし、それらが「商品化」されていないからこそ「安心」して末代までの夢や計画が描けるのですが、外国人が土地(=領土)を自由に買えるように政府(国土交通省)は外国人向けのマニュアルまで作成しています。

『孫子』九地篇に「敵人開闔すれば必ず亟かにこれに入り、其の愛する所を先にして微かにこれと期し、践墨して敵に随いて以て戦事を決す。この故に始めは処女の如くにして、敵人 戸を開き、後は脱兎の如くにして、敵人 拒ぐに否及ばず」とありますが、内部からその門を開くような国家が歴史上一体どこに存在したでしょうか。

中国の唱える一帯一路政策は、新しい植民地構想に他なりません。この構想は、清朝末期の中国に対して行われた西洋列強のやり方と同根です。中国はわが国における親中派の取り込みや育成と並行して領土買収や租借地化を進めるため20年ほど前からわが国の国土を狙い、計画的に土地や資源を買い漁り、「国防動員法下の中国人」を送り込んできています。わが国の政財界はトランプ政権による中国包囲網に協力することを表明しましたが、戦わずして人の国を丸ごといただく深謀遠慮こそが中国の伝統的な戦法であることを片時も忘れてはなりません。満州、チベット、ウイグル等…中国に呑み込まれた民族や国家がどんな悲惨な目に遭っているか、一刻も早くその実態を把握し、長期的な対抗策を実行すべきです。

しかし深刻なことに、国土が買収され続けていることは国民の多くに知らされていません。それどころか、中国の水先案内人であるかのような政権与党の一部幹部は「寝た子(=日本人)を起こさない対応が大人の対応、冷静な対応」だとしたり顔をする始末です。それはまるで「領土喪失の進捗状況」を国民の目から覆い隠す黒子役そのものの働きではないでしょうか。

一方、隣国の台湾は一つの中国政策による制約下で、昭和45年(1970)7月、中華民國駐長崎領事館を福岡へ移転させ總領事館に昇格させました。それに対して当時の長崎県知事 久保勘一は翌年5月、「中国は一つ」であることを表明します。中国の意図を反映する声明を県知事が出したということは、中国共産党の工作活動によるものです。以降、中華民國(台湾)総領事が着任の挨拶に行っても県知事が会うことは決してありません。

中国は当時、国際社会の中で中華民國に取って代わり、国連の五大国の地位を奪うために画策したことは勿論のこと、そのはるか先にある日本侵略も視野に入れて行動していました。昭和39年(1964)の東京オリンピックに核実験を、昭和45年(1970)の大阪万博に人工衛星打ち上げ(弾道ミサイル開発の副産物)を対置させたのも、やがて日本を侵略するという隠れた意思表示に他なりません。長崎県知事の「中国は一つ」の発言も、昭和47年(1972)9月29日の日台断交もその延長上の出来事です。

そして、今、台湾の自由と民主主義は重大な脅威に晒されています。中国は利益誘導で台湾と国交のある国を断交させ、国際機関への台湾参加を妨害し、孤立化への圧力を露骨に激化させています。そのような状況下にありながらも台湾人は「台湾は台湾、中国の一部ではない」と敢然と主張し、一歩も引かずに中国と対峙し、自国の尊厳と独立を守っています。

それにひきかえ、わが国では「明治の精神」の累々たる集積と蓄積に一顧だにしない世相が形成され、「今、私、お金」しか追求しない〈愚者の楽園〉が巧妙に仕組まれています。これは、わが国の未来に仕掛けられた犯罪的謀略と断じざるを得ません。

戦後の日本人は、リアリズムに満ちた洞察力を構築しえないまま74年の歳月を迎えるに至っていますが、その責任は一にも二にも私たち日本人自身にあります。戦争をしてでもアジア各国を自立させた本家本元の現在のこの為体は一体何と説明したらいいでしょうか。このままでは敵国による遠隔支配にとどまらず直接支配をも招きかねません。自公連立政治はこの先退路のない危険領域に入り込んでいくに違いありません。誰が敵で、誰が味方かを吟味しないで、「隣国だから仲良く」という台詞ほど「独立不羈」に程遠い言葉はありません。

英霊顕彰と領土防衛は私たち生かされている者の使命です。自民党は一日も早く日本人の政党として結党の精神に立ち返り、国土売却に何のためらいも感じない公明党との連立を解消し、売国立法、反日政策をやめ、憲法改正せずとも出来る「領土喪失を防ぐ法的手立て」を緊急に講じることを切に要望します。時あたかもアメリカ国防総省が、台湾を「国家」として認知した現下の情勢において、私たちは身命を賭して国土を護ってこられた数多の日本人先達のご遺志を受け継ぎ、英霊顕彰と領土防衛を国民的運動に発展させることをお誓いし「特別アピール」と致します。

令和元年6月16日
日華(台)親善友好慰霊訪問団
第17回台湾特別講演会 参加者一同

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