第12次 帰朝報告

期間:平成22年11月22日(月)~11月26日(金)

参加者:46名

11月23日(火)

ホテルで早目の朝食を摂った後、一行は台北駅八時発の新幹線に乗り、台南駅までの1時間45分間快適な新幹線の旅を楽しみました。台南駅で専用バスに乗り換えた一行は、烏山頭ダムを目指しました。11時にダムに到着すると、早速八田與一・外代樹夫妻の墓前に整列しました。昨年よりも更に周囲の整備が進んでいるのを確認して安堵しました。全員で国旗敬礼、国歌斉唱後、ご夫妻の御霊の平安を祈って黙祷を捧げ、名誉顧問の日高誠氏が墓前にお花を供えられました。その後各人がお線香を上げて回向を済ませダムの中腹にある殉工碑へと向かいました。ダム建設の過程で犠牲となられた方々を日本人と現地の方を分け隔てることなく手厚く弔っているこの碑を見るたびに、台湾の人も内地の人と同じと考えた先達の心の広さに感動を覚えます。碑前で黙祷を捧げた後、建設会社を経営されている松俵義博常任顧問が団を代表してお花を捧げ、献花式を終えました。

その後八田與一記念館で、八田技士の遺業を紹介するDVDを観賞しましたが、昨年迄はいつもこの記念館には林渓和さんがおられて、「領台時代に感念」等のご自身の著書を頒布されていました。けれども昨年急逝され、第11次までのおつき合いになってしまいました。もっと領台時代の日本の良さをお聞きしておけば良かったと惜しまれます。

台湾で日本料理に舌鼓

烏山頭ダムの訪問を終えた一行は、昨年と同じ新營市の、「小園日本料理店」で何怡涵・陳清華ご夫妻のご歓待を受けました。1年振りの再会でしたが、お2人ともお元気なので安心しました。会場には陳さんのお弟さんの陳徹さんをはじめご親戚の方々や塩水小学校の劉信郷校長先生、台南縣政府の蘇煥智縣長の秘書の張淑娥さん等懐かしい方々がお集まりでした。何さんのご挨拶、小菅団長の答礼の挨拶、記念品の交換に続いて乾杯となり、昨年同様美味しい日本料理に舌鼓を打ちました。何・陳ご夫妻はともに80歳を超しておられ、齢と共に足腰が弱られることは判りますが、何だか最近は顔艶がよく、精神的に充実してあるのではないかと思います。各テーブルで大いに盛り上がっていましたが、来年の再会を固く約して、次の訪問地である海尾朝皇宮へと向かいました。

海尾朝皇宮を初めて訪問

海尾朝皇宮は昨年までの行程にはなかった所で、飛虎将軍廟の上宮にあたるそうで、飛虎将軍廟にお参りする前にここにお参りするのが礼儀であると、飛虎将軍廟顧問の蔡志宏氏から要請されて今次採用した訪問先です。現地に着くと爆竹で迎えられ、確かに飛虎将軍廟より大きな堂で風格は感じられました。蔡氏の進行で、献香・献花・献果の献上式と寄付金の贈呈式は10分程で終わり、直ちに飛虎将軍廟へ移動しました。

飛虎将軍廟では恒例の爆竹による熱烈歓迎を受けましたが、殊の他今年は爆竹の音が大きく感じられました。つい最近当地で祭事があったばかりだそうで、供物も例年より豪華に感じられました。いつもでしたらここで訪問団独自の慰霊式を斎行していたのですが、今回は蔡顧問の進行で、国歌斉唱、献上式(香・花・酒・煙草)、祭文奏上、玉串拝礼、「海ゆかば」斉唱、萬歳三声と本来の作法に従って執り行われました。その後地元の皆様方と交歓し、バナナやジュースを沢山お土産にいただきました。今までと少し勝手が違うのは、これまで中心的な存在であった呉金魁氏が亡くなられたことも影響しているのかと想像しましたが、皆様の暖かさは基本的に変わっていないことにホッとしました。

常任顧問が龍柱二柱を奉納

この日最後の訪問地、高雄の保安堂に着いたのは18時を回っていましたが、趙惠麗さんをはじめ地元の方々が20名程集まっておられ、1年振りの再会を喜び合いました。早速班毎に整列して、国旗敬礼、国歌斉唱、黙祷、献花、団長挨拶の手順で慰霊式を斎行しました。現在堂を新築中で、完成は来年以降になりそうですが、松俵義博常任顧問が龍柱を二柱奉納されたことへの御礼として感謝状が団長と常任顧問に贈呈されました。龍柱は堂々たるもので荘厳でしたし、傍らの「龍柱の沿革」の銘板も立派なもので、完成が楽しみです。

建設中のお堂を見学した後、いつもの美味しいぜんざいやバナナ、ポンカン、お菓子で歓待を受け、地元の方々と談笑したり、「にっぽんぐんかん」を見学したりして、しばし和やかな時間を過ごしました。周囲はすっかり暗闇に包まれ、19時近くになりましたが皆さんいつまでも名残を惜しまれ、お暇乞いをするのが心苦しい限りでしたが、来年の再会を約してバスに乗り込み出発しました。

大好評だった団長の「アイビャージャエイヤー」

バスは30分程で黄明山台湾支部長主催の歓迎夕食会場に到着し、黄支部長をはじめご家族の皆さんや支部長の会社の方など大勢の皆さんに暖かく迎えていただきました。黄楷の通訳で支部長の歓迎の挨拶、団長の答礼の挨拶、お土産贈呈に続いて祝宴となり、身内同士の心安さもあって、各テーブルともに大いに盛り上がりました。支部長ご夫妻がそれぞれのテーブルを回られて全員に挨拶されましたが、この作法は日本では以前から実行されており、日本精神がここにも受け継がれていると感慨を深くしました。最後は団長が「アイビャージャエイヤー」を台湾の皆さんと台湾語で熱唱して締め、2時間の祝宴はお開きになりました。その後一行は宿泊先の華王大飯店で旅の疲れを癒しました。

(文責:原田和典)

帰朝報告の系譜

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