梨山

エピソード - 梨山 ~ 台湾中部の霧の桃源郷

リンゴ、梨、水蜜桃の花が全山を染める

梨山国家風景区は台中市の和平区に位置する。四季がはっきりとしており、朝夕には雲が千変万化の趣きを見せ、良質な温帯果樹を産出する高山農業地帯である。梨山の海抜は約1670メートルで、遠目には雪山山脈が見渡せるが、常にくっきりと眺めることができるのは雪山主峰である。空気が綺麗で、夏には星の観測ができ避暑地として人気がある。春になると桃、梨、リンゴの花が次々と咲き、全山を彩る。

東西横貫公路と宜蘭支線は國民党兵士が命の危険を冒して切り拓いた道路であり、台湾の道路開拓史の輝かしい幕開けを飾った。梨山から宜蘭に通じる台7甲線は中央山脈の中を通っており、うっすらと霧のかかる高く険しい山々はまるで別天地のようである。曲りくねって起伏の激しい山道を、美しい景色をひと目見るべく、この道を選んで梨山を訪れる。

太魯閣峡谷の道路建設を終了した国府軍の兵士の大半は花蓮や台北等に帰ったが、一部の兵士はここに残り、山で梨を栽培して生計をたてたのだ。彼らの土地を、いまでは梨山(なしやま)と呼び、太魯閣中腹の観光名所となっている。また梨山の環山集落はタイヤル族の重要な村落になっており、色彩鮮やかな織物技術で名高く、その踊りは生命と栄誉の象徴を表している。

(文章:五郎丸浩/第20次結団式)

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