太魯閣峡谷

エピソード - 太魯閣峡谷 ~ 息を呑む神秘の谷

太魯閣を見ずして観光したと云う勿れ

太魯閣(タロコ)峡谷と呼ばれているが正式には「太魯閣国立公園」のことである。太魯閣国立公園は台湾中部、花蓮県の山間部にあり、南北に約41キロメートル、総面積は9万2千ヘクタールに及ぶ。その昔、徳魯古族人「Taruku」が中央山脈を東に向かって移動している際、高く険しい渓谷の姿を気に入り、そこに残り、タイヤル族の人々と一緒に暮らしていた。時が過ぎ、日本統治の際、日本人は「Taruku」という音を発音出来なかったため「Taruko」という音に修正し、「大魯閣」という漢字を当てたのである。この漢字には勇者の開拓精神という意味があるそうだ。その後、國民党が台湾に来た後「太魯閣」に改め、現在に至っている。

太魯閣峡谷の見所は20キロメートルにも亘って切り立つ断崖絶壁。その下を曲折して流れる渓流、バスの窓から見る景色は、まさに天下の奇岩といっていい。これは立霧(たつきり)渓の流れが大理石を侵食して創り上げたものだと言われている。日本統治時代から国立公園に指定され、台湾の代表的名所だったが、東部の交通が不便であったため、訪れる人は少なかった。戦後、蒋介石総統は大陸から連れて来た10万人の兵士を動員し、岩をくり抜き、岸壁を縫う公道を建設した。「太魯閣を見ずして観光したと云う勿れ」という言葉が残っている程である。

(文章:五郎丸浩/第20次結団式)

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