阿美文化村

エピソード - 阿美文化村 ~ 運動能力に長けたアミ族

団結、忍耐、服従、独立精紳を厳格に養うスパルタ教育

花蓮は台湾東海岸の街である。ここには台湾の先住民族、アミ族がいる。北は花蓮から南は台東までアミ族全体の約3分の1を占める13万人が住んでいる。アミ族は約1,000年前、マレー半島から花蓮に移り住んだと言われる。彼らは5、6歳の子供の頃からスパルタ式の集団教育を行い、村落防衛のため武芸を習得させている。

阿美文化村は花蓮郊外の車で数分のところにある。演芸場は浅くて底の広いすり鉢状で、底の部分が舞台になり、観客席は500名ほどである。艶やかな民族衣装の若い男女が、独特のリズムを持つコーラスに合わせて、舞台一杯に踊り廻る。収穫の踊り、結婚式の踊りなど生活に密着した演目が多い。

アミ族は平地に住む種族のひとつで半農半漁の生活を営み、歌や踊りが上手なことで有名である。団結、忍耐、服従、独立精紳などを厳格に養い、その上、背も高く、筋骨逞しく運動能力にも優れている。ローマオリンピックの10種競技で銀メダルを獲得した楊伝広、アジア大会で優勝した呉阿民、日本のプロ野球で活躍した郭泰源もアミ族出身である。また、日本への思い入れも深く、戦争に参加したアミ族の人は「私たちは日本のために一所懸命戦いました。今でも何かと集まっては、愛国行進曲やラバウル小唄などを歌って日本を懐かしんでいます。私たちは日本が好きで、大和魂は今も燃えています。どうか高砂族を忘れないで下さい」と言う。

大東亜戦争において日本軍の一員として戦地に赴いた台湾人は20万人。そして元日本軍人軍属の戦死者は3万3千人にのぼる。うち、10%が高砂族だと言われている。昭和49年(1974)12月26日、インドネシアモロタイ島のジャングルで元日本軍兵士、中村輝夫氏が32年振りに発見され、奇跡の生還として感動を呼んだが、日本人として最も長く戦ったのはアミ族の中村輝夫氏だったのである。

(文章:五郎丸浩/第20次結団式)

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