奇美博物館

エピソード - 新しくなった「奇美博物館」

市民のための総合博物館

台湾を代表する企業集団「奇美グループ」の創業者、許文龍氏は市民のための博物館をつくることがひとつの夢だった。許氏は、芸術や音楽に対する造詣が深く、自ら創作に勤しむだけでなく、広く世界に名作を求め、その美を市民と分かち合い、後世に伝えることを使命と感じてきた。奇美文化基金会では西洋芸術史を彩る各時代の作品を収蔵・展示するため、4年近い歳月をかけて奇美博物館新館を落成させた。旧館創立は平成4年(1992)。個人で集めたコレクション博物館として工場敷地内に開館し、誰でも来館できるよう無料開館されていた。

新しくなった「奇美博物館」は、広大な敷地内にあり館内外ともに充実の一言。特に西洋芸術、楽器、兵器、自然史関連の収蔵品は際立って優れている。館内収蔵品は西洋芸術を中心に1万余件に達し、展示作品は約4000点。

宮殿のような外観と豊かな作品群はまるでその身を欧州においたかのようだ。台湾高速鉄道で台南附近を通過すれば、昼夜を問わずそのまばゆい姿を目にすることができる。博物館のこだわりの一つが、西方文明の原点ともいえるギリシャ神話で、博物館の各スポットにはその故事に由来する愛称がつけられている。アポロンの噴水広場を過ぎると、12のオリンポスの神々の像がならぶ「オリンポスブリッジ」へと続き、そのまま博物館へと導かれる。ドーム形の白い屋根やコリント式の柱など博物館の建物全体はローマ風とギリシャ風が見事に融合している。

博物館外の公園にも見所はいっぱいあり、時間があればゆっくり散策してみたいところだ。

(文章:五郎丸浩/第20次結団式)

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