愛河

エピソード - 愛河 ~ 愛を語り合う恋人たちのデートスポット

日本統治時代の高雄運河

大都市には美しい川はつきもので、高雄も決して例外ではない。高雄市とともに幾歳月を過ごした愛河は、清代には「打狗川(いぬたたきがわ)」と呼ばれていた。しかし、日本統治時代には名称があまりにも無粋なために嫌われ、大正9年(1920)に打狗の町が高雄と改称され「高雄川」となり、高雄運河とも呼ばれた。戦後、河原の両側に河川敷公園が整備され緑あふれる美しい公園へと生まれ変わり、そこは愛を語り合うデートスポットになった。これが愛河という名の由来である。後に蒋介石前総統が夫人の誕生日祝いにと仁愛河に改名したが、愛河の名前は今もなお人々の間で愛され続けている。

愛河の美称をもつ河だが、一時は工場や家庭から排出される汚水で、異臭を放つヘドロだらけの河になり、高雄一汚い場所というレッテルを貼られた。しかし、その後、長年にわたる整地工事の甲斐もあり、白鷺が空を舞い、魚が戯れる、以前の美しさを取り戻していった。沿岸には公園や緑地が増設され、延々と続く自転車専用道もつくられ、そよそよと吹く心地よい風を全身に受け、のんびり河原を散歩しながら、高雄自慢の川岸の風景を望める。夜になると愛河一帯がライトアップされ、遊覧船「愛之船」によるナイトクルーズも運航されている。

(文章:五郎丸浩/第20次結団式)

お問い合わせお問合せ