第20次 保安堂 慰霊式 祝詞
波静かなる紅毛港の遥かに靖國神社を望む 此の保安堂を厳の齋場と三十八號帝國海軍艦艇の大前 招ぎ奉り坐せ奉る
菊花薫り 恰も帰り来給へる 御霊の御聲が耳朶に聞へ来るを覺ゆ
此の鳳山の底つ磐根と保安堂に齋奉る 高田又男命をはじめ 百四十四名将士命の神々の御前に 日華(台)親善友好慰霊訪問団 団長 小菅亥三郎 謹み敬ひ 恐み恐み 白さく
今日 十一月二十三日 崇敬者有志 集り 侍りて御霊慰めまつらむと 神饌 神酒 種々の味物を捧げまつりて 拝みまつる状を 平らけく安らけく聞こしめせと白す
今更に思い出奉り偲び奉るも悼ましの限りにこそ有れ
家族親族の心の内や如何ばかりかも然は有れども 汝命等御國の為
身も棚知らず 一向に大和心の利心雄々しく変わる事無く
唯一筋に尽くし給いて 大き功芳わしき御名とを 現世に残し留めて身退り給いぬるは 尊き極みにて
千里五百里 何れの時か其の名を慕わざらん
千年五百年 何れの時か其の名を慕わざらん
既に天の下の平和 立ち帰りたる
今にして思い廻らせば汝命等の遂行し給える働きこそ
人類の福祉を齎し来れる大きな力となりて 今将亦 何の辞を以て称え奉るべきと高く仰ぎ 深く偲び奉るにぞ在りける
故 汝命の現世に在し面影を偲び奉りて
高き尊き御偉業を慕い奉らんと
御前に崇敬者有志さわに参列なりて一年に一度 仕え奉る常の例の
慰霊式 仕え奉らく平けく 安らけく聞食して斯く仕え奉る諸人等に 広き厚き恩頼を蒙らしめ給い
恐々も称辞 竟奉らくと白す